【徹底調査】障害者の95.5%が転職・就職活動に不安あり。悩みや不安の相談先には「客観的、専門的な視点」を

調査結果

就職・転職活動には不安がつきものです。dodaチャレンジでは、全国の障害のある就業者596人に、障害者の就職・転職活動における不安や悩み、そして「はたらく」に対し重視する点について調査しました。本記事では、求職活動において何を重視し、不安や悩みはどのように解決したかについてご紹介します。現在求職中の方は、本調査結果と、実際に就職・転職された方のアドバイスも参考に、ぜひ活動の指針としてください。

point

  • 「はたらく」について特に重視すること、第1位は「収入・給与」、第2位は「継続してはたらけること」
  • 障害のある就業者の95.5%が、就職・転職活動においてなんらかの不安や悩みがある
  • 不安や悩みの解消法や相談先は、「ネットやSNSなどで調べて自己解決する」(45.9%)が最多

調査概要

調査期間:2022年7月26日~31日
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:dodaチャレンジに登録する、全国の障害のある就業者(20~59歳)
サンプル数:596名(身体障害:433人、精神障害:163人)

目次

障害者採用での就職・転職活動について、「はたらく」に対して重視すること

読み取れるポイント

  • 「収入・給与」が最多回答となり約7割を占める
  • 「継続してはたらけること」「業務内容」を重視する回答が、前回調査より大きく増加
  • 「自宅と職場の距離・在宅勤務制度」は、新型コロナウィルスの影響によって増加した前々回調査から減少

障害者の就職・転職について_グラフ1

「収入・給与」重視は変わらず、業務内容や継続性について重視傾向が増加

「はたらく」に対して、重視していることについて(複数回答・最大3つまで)、前回2021年8月と、今回2022年7月調査結果を比較すると、いずれも「収入・給与」が最多回答となり7割を占め(前回67.3%→今回67.6%)大きな変化はありませんでしたが、それに次ぐ「継続してはたらけること」が10.3pt(前回34.8%→今回45.1%)、「業務内容」が6.1pt(前回34.2%→今回40.3%)前回調査よりも増加しました。
また新型コロナウィルスが蔓延した直後の2020年6月調査で増加した「自宅と職場の距離・在宅勤務制度」は、2020年調査の27.7%から8.2pt減少し19.5%となっています。

調査の結果、障害者採用枠での求職活動は「安定した収入」と雇用の「継続性」を重視する傾向は変わらず、「はたらく=安定した生活のため」という意識が伺えます。一方で、「一般採用枠と変わらない業務を任され、遜色なく能力を発揮できた(40代、身体障害)」、「一般枠だとなかなか枠の空かない希望のポジションに比較的早い段階でチャレンジできた(30代、身体障害)」、「前職では得られなかった専門的な知識を身につけることが出来た。また給与も前職よりアップした(30代、身体障害)」など、キャリアアップや待遇改善など当初の希望以上のことが、転職によって得られたと前向きなコメントが多く挙がりました。

「在宅勤務制度」の希望について

2020年の調査で増加した「在宅勤務制度」の希望については、コロナ禍以前の数字に戻っています。この2年で制度が普及し、個々ではたらく場所を選択できる環境が増えたことや、それによるメリットデメリットも業務内容次第だと考えられているのではないかと推測できます。

障害者の95.5%が就職・転職活動において不安や悩みあり

読み取れるポイント

  • 就職・転職活動中に、ほとんどの人が「不安や悩みがあった」(95.5%)と回答
  • 「給与・待遇面で条件と合致するか」について半数以上(51.7%)が不安と回答している。

障害者の就職・転職について_グラフ2

求職活動における不安や悩みは、希望する「給与・待遇」「障害配慮」「業務内容」に合う求人があるのか

調査結果からもわかるように、ほとんどの人が就職・転職活動中に「不安や悩みがあった(95.5%)」と回答しました。給与・待遇面について51.7%の人が不安と回答したほか、「自分の希望や特性、適性に合った求人数が少ない(36.7%)」、「自分に合う仕事はあるか、それが何なのかわからなかった(34.2%)」、「希望するサポートや配慮を受けられるか(31.3%)」など、自分の希望する条件や待遇、特性に合った業務内容の求人が見つかるかという、障害者採用市場そのものに対する不安も回答の多くとなりました。

また具体的なコメントでは、「長くはたらきながら、どのようなキャリアが積めるか不明確だと感じた(30代、精神障害)」、「正社員登用の判断基準など、もう少しはっきりと知らせて欲しかった(30代、精神障害)」など、キャリア形成に対する意見や、「仕事の量に給与が見合ってない、障害者枠と言うだけでこの扱い方なのかと思ってしまう(30代、身体障害)」といった、給与・待遇に対する不満の声が挙がりました。

不安や悩みは「ネットやSNSなどで調べて自己解決する」が約半数

読み取れるポイント

  • 不安や悩みの解決方法や相談先は「ネットやSNSなどで調べて自己解決する」(45.9%)が最も多い
  • 「家族や友人」(42.9%)、「キャリアアドバイザー」(35.9%)なども相談先として回答数が集まる

障害者の就職・転職について_グラフ3

まずは自身でネットで情報収集。障害者採用の市場については身近な人や専門的な視点を持つ人に相談

「転職・就職活動中に不安や悩みがあった」と回答した569人に、「解消法や相談先」を尋ねると、「ネットやSNSなどで調べて自己解決する(45.9%)」が最も多く、「家族や友人に相談する(42.9%)」、「キャリアアドバイザーに相談する(35.9%)」なども相談先として回答数が集まりました。「ネットで調べて家族に助言を求めた後、転職支援企業のアドバイザーに相談(50代、身体障害)」というように、まずは自分で調べてから、身近な家族や友人、障害者雇用に関する専門的な視点を持つ人に相談しながら解決するといったコメントが多く挙がりました。
また、「障害者の支援機関(19.3%)」や、「ハローワークの求職者窓口(14.6%)」に相談する人は、2割に満たない結果となりました。

相談先として、就職・転職エージェントのキャリアアドバイザーに求めること

  • 障害を理解した上で、自分の適性や自分に合う仕事を教えてくれるとありがたい(40代、身体障害)
  • 自分自身がうまく表現できなかった配慮事項などを明確な言葉にして欲しい(30代、精神障害)
  • 障害者枠は、一般枠の就職活動とは違うところがあり、企業側の考え方が知りたい(20代、精神障害)
  • 客観的な判断で、自分では選ぶことの無い職種や業界が知りたい(30代、身体障害)
  • 前職と違う職種を目指す場合など、キャリアアップを支援してもらえると助かる(40代、身体障害)
  • 自分が普段触れることの出来ない非公開求人の紹介や、企業に給与をはじめとする希望を率直に伝えてほしい(30代、身体障害)

就職・転職活動に悩みや不安はつきもの。障害者採用専門のエージェントの活用を

アンケート回答者が自身で求職活動を行って感じた、現在求職中の方に向けたメッセージを一部抜粋しました。

  • とにかくキャリアアドバイザーの方に何でも聞いてみること、こんなこと聞いていいのかな?という内容ほど意外と自分にとって大事な内容だったりする(20代、精神障害)
  • 私自身転職前より若干収入は減ったが、転職前よりも充実している。必ず自分に合う会社はあるはず(30代、精神障害)
  • 数年前に比べたら求人数も待遇も良いところが増えているので、頑張れば良いところに就職できると思うが、就職・転職サービスの質にはかなり差があるので、良いサービスや良い担当者と一緒に就職・転職活動をしていくといいと思う(40代、精神障害)
  • 障害者雇用のことに特化した就職支援会社にサポートしてもらうのが大事(50代、身体障害)
  • さりげなくナッジしてくれる仲間を見つけて大切にすると、気をつけられる事や努力出来る事が増えると思う(30代、精神障害)
  • 障害者枠が増えてきているとは感じるが、業務内容に偏りがある様に見受けられ、自身のやりたい事・適性が合う企業を根気よく探す必要がまだまだある様に感じる(30代、精神障害)

まとめ

今回の調査では、障害のある就業中の方のうち、95%以上もの方々が、就職・転職活動中に不安や悩みを抱えており、給与・待遇面以外にも「自分の希望や特性に合う仕事があるか」「昇進・昇給などの評価制度」、「対等に接してもらえるか」などの不安を感じていることがわかりました。
私たちキャリアアドバイザーは、皆さまがご家族やご友人に相談する際に抱かれる安心感にはかないませんが、障害者雇用の専門家として、障害についての正しい知識や豊富な雇用のノウハウをもとに、障害特性に合う仕事や面接での配慮の伝え方、キャリアアップのための選択肢など客観的なアドバイスとご支援をさせていただきます。是非積極的にご活用ください。

公開日:2022/9/8

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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