内部障害がある方が仕事上の困りごとを解決し、活き活きとはたらくためには

活き活きとはたらくチーム

障害のある方が抱えている障害の種類はさまざまです。それらの障害の中には、一見しただけでは確認しにくい「内部障害」と呼ばれるものも存在します。
この記事では、内部障害を持つビジネスパーソンが抱える問題や課題について解説し、その現状を踏まえた改善策についてもご紹介します。

内部障害とは?基礎知識を改めて確認しよう

まずは、一般的に「内部障害」と呼ばれる障害はどのようなものかを再確認しましょう。

内部障害とは

内部障害とは、外見では分かりにくい内臓など体の内部に存在する障害のことです。内部障害のある方は、一見するだけでは障害があるとは分かりませんが、体の内部に障害があるために日常生活において支障が生じてしまう状況にあります。
内部障害のおもな種類としては、以下の7つが挙げられます。

  • 心臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • 肝臓機能障害
  • 腎臓機能障害
  • 小腸機能障害
  • 膀胱・直腸機能障害
  • HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫機能障害

内部障害の特性

先にも軽く触れましたが、内部障害のある方は以下のような特性を持っています。

  • 外見では障害が分かりにくい
    内部障害では身体的な症状が出ることがありますが、外見からはその症状を見て判断することが困難です。
  • 障害の状況や程度が多様である
    内部障害は多様性を持っており、症状の種類や程度、見え方などが人によって異なります。
  • 日常生活に支障がある
    内部障害があることで日常生活や仕事に与える影響は大きく、しかもさまざまです。例えば、体調の変動や、無理をした際の影響なども障害の種類や程度によって異なります。

内部障害の種類一覧

ハートを持つ医師

ここでは先ほどご紹介した内部障害の種類と、分類される障害や疾病についてもう少し詳しく解説します。

心臓機能障害

心臓機能障害は、心臓の機能が低下している状態です。心臓の機能を補完するため「ペースメーカー」という医療機器を胸部に埋め込んでいる心臓機能障害のある方もいます。

呼吸器機能障害

呼吸器機能障害は、肺の機能が低下し、呼吸による酸素供給を正常に行えていない状態です。中には、適宜酸素吸入が必要で酸素ボンベを携行する方もいます。

肝臓機能障害

肝臓機能障害は、肝臓の機能が低下した状態です。肝機能低下による症状はさまざまで、疲れやすかったり、内出血が残りやすくなったり、皮膚などが黄色くなる黄疸が出たりします。また、細菌やウイルスに感染しやすくなったり、重症になると吐血や意識障害などが生じたりする場合もあります。

腎臓機能障害

腎臓機能障害は、疾患を原因とし、腎臓のはたらきが低下した状態です。体内の余分な水分や老廃物の排泄が困難になり、体がむくんだり有害な物質が体内に溜まりやすくなったりしてしまいます。

小腸機能障害

小腸機能障害のある方は、疾患や切除手術の影響で、小腸の機能が低下してしまっている状態です。食事をしてもうまく消化吸収できず、そのままでは栄養状態が悪くなってしまう方もいます。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫機能障害

HIVウイルスに感染して、免疫機能が低下してしまった状態です。これにより何らかの症状が現れると、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症したとみなされます。

上記の内部障害で、周囲の人が感染などによって日常生活の中で影響を受けるものはありません。HIVも社会生活の中での感染リスクはほぼゼロに等しいといえます。
過去にはエイズにかかる=「命が危ない」「人から人に感染する」という認識がありましたが、現在は治療法や治療体制が確立しています。日本国内の年間死亡者数や全世界での年間死亡者数も、2000年代前半をピークに減少を続けています。

内部障害がある方が職場で抱える悩み

内部障害は「見えない障害」とも呼ばれることから、目に見えないことによる困りごとも少なからずあります。ここでは、内部障害がある方がおもに仕事の場で抱えがちな悩みについてご紹介します。

障害についての理解を得られない

内部障害は四肢に関する障害などとは異なり、外見で判断しにくいため、同僚や上司に自身の症状を理解してもらうのが難しくなりがちです。また、病名のイメージから誤解や差別、偏見を生むこともあり得ます。
特にHIVによる免疫機能障害は、不本意ながら今でも差別や偏見を持たれてしまうことがあるかもしれません。前の項目で解説したとおり、「日常生活でのHIV感染リスクはきわめて低いこと」や、「現在エイズは治療によって免疫機能を維持できる病であること」などを職場の人に理解してもらうことが必要です。しかし、ご自身での説明に困難を感じたり、説明すること自体に心理的抵抗を持ったりする場合も多いことでしょう。

体調管理と仕事のバランス

継続して仕事のパフォーマンスを維持するために、周囲の人と比べて体調管理に気を使う方も多いでしょう。しかし、無理が続けば体調を崩してしまうだけに、無理のないはたらき方を選択することが必要になります。

キャリアの制限

出世や新たな職場への挑戦などのキャリアチョイスにも、障害の影響で躊躇しがちになってしまう可能性があります。

休むことへの罪悪感を持ってしまう

内部障害のある方は、体調不良や、通院のための休暇を取ることに罪悪感が生じてしまう場合もあるでしょう。「自分のせいで他の人に迷惑をかけている」と感じ、悩んでしまう方も少なくありません。

障害を隠すプレッシャー

差別や偏見を避けるため、障害を隠している方もいるのではないでしょうか。障害を隠していればプレッシャーを感じることもあるでしょうし、自分の体調や能力に合わない仕事を任されればストレスにつながってしまいます。

内部障害がある方の仕事の悩みや困りごとを解決するには

内部障害のある方がはたらくにあたって、さまざまなお悩みや困りごとがあると思います。ここでは、具体的なアイデアに基づく解決策について解説するとともに、利用できる支援制度などもご紹介します。

内部障害がある自分自身への理解とセルフケア

内部障害のある方がお悩みと向き合うには、原因となる疾患を正しく理解し、それに基づき適切なセルフケアを行うことが重要になります。例えば、以下のようなことを実践してみる方法はいかがでしょうか。

  • 自分の体調や活動の限界を理解し、それに合わせて仕事のペースを調整する
  • ストレスの適切な管理やリラクゼーション技術の使用 など

職場での内部障害の開示とコミュニケーション

障害を周りに明かさずにはたらいていることで、お悩みが大きくなっている方もあるでしょう。とはいえ、障害を開示することには迷っている方が多いのではないでしょうか。現に、職場で障害を開示することにはメリットとデメリットがありますし、選べる開示のタイミングや方法もさまざまです。また、開示した後に自分の状況を他人に理解してもらうためのコミュニケーションスキルも必要となってきます。

職場環境の改善と合理的配慮を求める

ご自身の障害を開示したとして、その先には職場環境の改善や合理的配慮を求める取り組みが必要です。具体的な合理的配慮の例としては、以下のようなものがあります。

  • 業務時間の調整
  • 適正な休憩時間の確保
  • リモートワークの導入 など

上記は単なる思いやりによる措置ではなく、障害者の方にはそれを求める法的権利があります。実際に、2024年4月からは障害者差別解消法が改正され、合理的配慮が法的義務化されることが決まっています。
合理的配慮を求める場合は、現状のお悩みを明確化して求める配慮事項を検討し、配慮の提供を職場に申し出るという手続きの流れが必要です。

支援リソースを最大限活用する

内部障害のある方に対する支援リソースの活用も重要です。かかりつけ医のほか、職場に産業医が常駐しているなら、まずは面談・相談を申し込んでみてください。
このほか、職場の人事担当者との面談によって上司に伝えにくいことを相談したり、代わりに伝えてもらったりすることも1つの手になり得ます。

新しい仕事へのチャレンジを検討する

配慮を求める以前に、職場で求められるはたらき方が自身の症状と合っていない場合もあります。また、業務内容が自身の特性とマッチしないなどの理由で、改善を求めてもお悩みの根本的解消につながらないこともあるでしょう。
そのような場合は、仕事や職場を変えることも一案となります。思い切って転職を検討してみることも、困りごとの解消や低減への近道になるのではないでしょうか。

内部障害がある方が転職を考える際のポイント

転職のポイントを解説するコンサルタント

内部障害のある方が転職する際、どのようなポイントを意識する必要があるのでしょうか。

自分に合った職場を見つけるためのポイント

仕事内容がご自身の特性や症状に合っており、ご自身がはたらきやすいと感じられる職場を選ぶことが、重要でしょう。しかし、内部障害のある方の場合はそれに加えて、職場のサポートと医療によるサポートが欠かせません。これらを満たす職場を選び、転職を検討することで困りごとの解消や低減に結びつく可能性があります。

障害者の転職の難しさ

障害のある方は、障害者雇用枠での転職活動を考えているかもしれません。特に内部障害のある方の場合、これまで障害を明かさずにはたらいてきて限界を感じているという方も少なくないでしょう。しかし、一般の就活市場で障害者雇用枠を見つけることは至難の業です。そこで、次にご紹介する障害者向け転職支援サービスを利用することが有用な選択肢となってくると思います。

障害者向けの転職支援サービスの活用を

障害者向け転職支援サービスを利用し、ご自身の特性や症状にマッチしたはたらき方ができる職場を見つけましょう。パーソルダイバースが運営するdodaチャレンジもその1つです。
dodaチャレンジは、障害者手帳をお持ちの方のための転職支援サービスです。専任の担当者によるキャリアカウンセリングをはじめ、非公開求人を中心とした求人情報の提供を受けられるなど多彩な支援を受けられ、無料で利用できます。求職者一人に対して一人のキャリアアドバイザーが対応するため、きめ細かなヒアリングにより現状の困りごとやご自身の特性に合わせた職場選びが可能です。一般の求人サイトには公開されない非公開求人など多くの障害者雇用求人から、ご自身にマッチするお仕事を見つけられるでしょう。

まとめ:内部障害があっても活き活きとはたらいていくために

内部障害は障害があることを理解してもらいにくく、はたらくにあたっても困りごとが多くなりがちです。しかし、内部障害のある方は医療によるサポートと職場の合理的配慮により、多少の制限はあっても通常の業務ができる方も少なくありません。
内部障害のある方で転職をお考えであれば、ぜひdodaチャレンジまでお気軽にご相談ください。障害者の転職事情を熟知したキャリアアドバイザーが、二人三脚で転職成功に向けサポートします。先にご紹介した内容以外にも、応募書類の書き方や面接対策などさまざまな支援をご提供しています。転職をご検討中の方はぜひご相談ください。

公開日:2023/7/6

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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