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大企業出身起業家はこうして起業した

寺田親弘/Sansan株式会社 代表取締役社長
柴山和久/ウェルスナビ株式会社 代表取締役
小川泰平/株式会社ietty 代表取締役社長
和田圭祐/インキュベイトファンド General Partner

[index]

[概要]

「スタートアップで築くキャリア ~起業する道 幹部として参画する道~」と題したイベントが2016年8月6日に行われました。当日は4部構成で、第1部はインキュベイトファンドの村田裕介氏による「最新のスタートアップ事情」の解説。第2部はSansan寺田親弘氏、ウェルスナビ柴山和久氏、ietty 小川泰平氏によるパネルディスカッションを実施。「大企業出身起業家はこうして起業した」というテーマで、大企業出身者が起業するメリットや起業する前と起業後に感じたギャップを語りました。第3部はパーソルキャリア岩田亮による「キャリアとしてのスタートアップという選択肢」というテーマでスタートアップへの転職事情を解説。そして第4部はベータカタリスト春田真氏、メルカリ小泉文明氏、Sansan田中潤二氏が「参画するスタートアップは経営者のここを見て決める」をテーマにしたパネルディスカッションを実施し、それぞれの参画のきっかけを語りました。今回はその中から、第2部の「大企業出身起業家はこうして起業した」のパネルディスカッションの模様をレポートします。

[登壇者プロフィール]

寺田親弘/Sansan株式会社 代表取締役社長

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、1999年に三井物産株式会社に入社。情報産業部門にコンピュータ機器の輸入、システム開発、JVの立ち上げに従事した後、米国シリコンバレーに転勤し、米国最先端ベンチャーの日本向けビジネス展開を担当。帰国後、社内ベンチャーの立ち上げやセキュリティ関連会社への出向を経て2007年に退職。4人の仲間とともにSansan株式会社を設立する。2011年にThe Entrepreneurs Awards Japan U.S. Ambassador’s(駐日米国大使賞)を受賞。“ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する”というミッションのもと、名刺管理サービス「Sansan」と「Eight」を提供している。

柴山和久/ウェルスナビ株式会社 代表取締役

2000年に東京大学法学部を卒業後、財務省に9年間勤務。ハーバード大学で金融取引法を学んだ後、日英の財務省で予算、税制、国際交渉に参画。INSEADで金融工学を学んだ後、2010年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。ウォール街の機関投資家として10兆円規模のリスク管理・資産運用プロジェクトに携わる。2015年3月に退社し、TECH::CAMP第6期に入学。卒業直後に、WealthNavi(ウェルスナビ)株式会社を設立。ニューヨーク州弁護士。

小川泰平/株式会社ietty 代表取締役社長

1984年島根県生まれ。2006年、青山学院大学法学部卒業。住友不動産株式会社に入社。事業用地の取得、開発企画、営業企画、広告企画などに従事。消費者第一の不動産業界を創ることを決意し、2012年2月、株式会社iettyを創業。

[モデレーター]

和田圭祐/インキュベイトファンド General Partner

2004年フューチャーベンチャーキャピタルに入社し、ベンチャー投資やM&A アドバイザリー業務、二人組合の組成管理業務に従事。2006年にサイバーエージェントへ入社し、国内ベンチャー投資、海外投資ファンド組成業務、海外投資業務に従事。2007年、シード期に特化したベンチャーキャピタル、セレネベンチャーパートナーズを独立開業。2010 年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。

大企業出身の起業家が語る、大企業出身者が起業するメリット

起業した理由

和田
では初めに、皆さんの創業の経緯も含めて自己紹介をお願いします。

寺田
2007年にSansan株式会社を創業し、名刺管理ソリューションを法人向けに提供しています。その前は、三井物産に丸8年勤めましたが、新卒で三井物産に入る前からいずれは起業しようと考えていました。テーマとして名刺を選んだのは、ビジネスの場で必ず交換するものなのに、紙の状態で終わっていて、課題と可能性が大きくあると感じたから。自分自身が名刺管理に困っていた、というのもありますね。

三井物産ではIT部門だったので、事業として名刺そのものを扱ったことは一度もありません。あくまで1ユーザーとして名刺に着目したのがきっかけです。一緒に創業したメンバー4人は1年半くらいかけて口説きました。よく会社を辞めて起業するリスクについて聞かれますが、たとえうまくいかなかったとしても、その経験を糧にまたどこかで仕事ができると考えていたので、当時ファイナンシャルなリスクはまったく感じていなかったですね。

企業の経緯を語る(左)寺田氏とモデレーターを務める(右)和田氏

柴山
財務省に9年勤めた後マッキンゼーに転職し、東京で1年、韓国で3カ月、その後はニューヨークを中心に仕事をしてきました。2015年4月にウェルスナビ株式会社を立ち上げ、スマホから証券取引所のシステムを連結してアルゴリズムで資産運用するサービスを2016年1月からスタートしました。欧米に比べて20~30年遅れていると言われる日本の資産運用サービスを、一気に世界水準に持って行くことを目指しています。

私は寺田さんとは真逆で、公務員時代もマッキンゼー時代も、起業を考えたことはまったくありません。マッキンゼーにいた時、ウェルスナビでやっているようなサービスを金融機関に提案しようと思ったのですが、金融機関の既存のビジネスと食い合うので、意思決定にだけでも相当時間がかかる。だったら自分でやればいいんじゃないか、とふと思い立ったんです。3週間後には上司や同僚の前で「起業します」と宣言しました。

小川
2012年にiettyを創業しました。私は寺田さんと似ていて、新卒で住友不動産に入った時から、5年で必ず辞めて起業すると決めていました。住友不動産では用地業務に3年ほど携わった後、ビルの事業企画や賃貸マンションの営業企画、商品企画などを経験。4年目が終わるころから、起業に向けてテーマを考え始め、目を留めたのが賃貸です。今後イノベーションが起きる余地が多分にあると感じ、「賃貸×インターネット」というビジネスモデルを考えました。

当時はまだスタートアップという言葉も一般的ではなく、出資という仕組みがあることすら知りませんでした。インキュベイトファンドが主催する「Incubate Camp」という投資プログラムのことをたまたま知って参加してみたところ、なぜか優勝。上位入賞者には投資が実施されるということだったので、思い切って会社を辞めて起業しました。今考えれば、投資額もそれほど多くはなく、仲間も誰もいない状態で、よく決めたなと思いますね。

起業の当時を振り返る(左)小川氏とそれを聞く(右)柴山氏

大企業経験のメリット

和田
皆さん当時は大企業で経験を積まれていたと思いますが、その時の経験で今活かせている部分や、学びになっていることはありますか。

小川
住友不動産時代は、用地や商品企画、営業などを経験し、川上から川下までを一通り見ていました。加えて住友不動産は、日本の不動産業界ではトップクラスの企業。業界全体を見わたせる立場にあったことは、今すごく活きていると感じます。iettyは「賃貸とインターネット」の会社ですが、その先に「いかにして不動産業界全体を“消費者第一”に変えていくか」を考えていて、それが会社のビジョンにつながっています。これまで業界全体の構造を見て、負の部分も含め全部を理解しているからこそ、大きなビジョンを描くことができる。それがよかった点ですね。

住友不動産は比較的ベンチャーマインドを持っている会社だと思います。普段から部署の異動も頻繁にあり、「変わること」を誰もまったく恐れない。企業規模は大きいけれど、動きがとても俊敏で、業界の中でも利益率が非常に高い。そんな組織に身を置いて学んだのは、ベンチャーマインドやそれに根づいた行動様式が、強い会社をつくるという事実です。その経験は今の自分の血肉になっていると感じます。

柴山
霞が関に10年もいると、政府が次にどんな新しい政策を打ち出してくるか、どう規制が変わっていく余地があるのか、新しいサービスをつくる際に監督官庁をどう説得すればいいのか、といったツボがだいたい見えてきます。普段、政策決定でやってきたことをビジネスに応用すればいいので、その点は非常に有効だと思いますね。

規制産業はこれまで、規制によって守られていた半面、ユーザーが犠牲になっていた現状がありました。規制産業で働く人たちは、日々何らかの矛盾を感じながら仕事をしている面があるはずです。言い換えればそれは、お客さまにもっと役立つサービスを提供できる可能性や機会がたくさん転がっているということ。フィンテックはまさに規制のど真ん中でイノベーションを起こしていこうという領域。財務省で規制そのものについて理解を深め、マッキンゼー時代には金融の世界でずっと仕事をしてきたので、「変える余地が多くあるけれど、大手企業は手を出しにくい」というチャンスを見つけやすい。それは大きなメリットだと感じています。

寺田
三井物産で働いてよかったことを2つ挙げるなら、1つは、大企業を相手にしたときにも構えずにいられること。例えば、アライアンスを結ぶ際に相手企業がビッグネームだったとしても、フラットな関係で接することができる。彼らがどういう考えで動いているか、という理屈がある程度分かるので、それを踏まえて対応できます。

もう1つは、入社2、3年目にシリコンバレーでベンチャー企業の日本向けビジネス展開に携わり、多くのベンチャーを間近で見る機会を持てたこと。彼らは、たとえ従業員が5人ほどで、商品がまだなくても、大きなビジョンを掲げて「われわれはこうやって世界を変えるんだ」とプレゼンする。嘘でもはったりでもいいから最初からそうした「世界の切り取り方」をちゃんと提示することはすごく大事だと学びました。

三井物産で働いていた当時を語る寺田氏

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