障害年金とは?受給条件や金額、申請方法について解説

車いすと年金手帳

身体障害や精神障害などの障害があり、生活や仕事に支障・制限があるという方は「障害年金」を受給できる可能性があります。年金と聞くと「高齢の方が受け取るもの」というイメージがあるかもしれませんが、障害年金は受給条件を満たしていれば20代や30代の若い方でも受け取ることが可能です。
この記事では、障害年金の概要をご説明し、受給金額の計算方法や申請に必要な書類、申請の流れなどをご紹介します。国の公的年金制度である障害年金について詳しく知りたい方や、申請をご検討中の方はぜひご参考にしてください。

障害年金とは

障害年金とは、病気やけがで生活や仕事が長期間制限されている場合に、生活を保障するものとして支給される年金です。
年金は国の公的年金制度に基づいて支給され、障害年金の他に、高齢になった際に受け取る「老齢年金」と、年金加入者の遺族に対して支払われる「遺族年金」があります。
なお、支給された障害年金は非課税となり、病気やけがによる生活面や経済面での不安を軽減できます。
参考:「障害年金|日本年金機構

事故などのけがが原因の障害や、病気の後遺症による障害、先天性の障害などが支給対象となり、対象となる病気・けがには、以下のようなものがあります。

・外部障害
先天性の視覚・聴覚障害、四肢の欠損など生まれつきある身体障害
手や足の切断による身体障害、人工肛門、リウマチ、事故や病気による視覚・聴覚障害 など

・精神障害
うつ病、統合失調症、知的障害、発達障害 など

・内部障害
先天性の臓器障害や臓器欠損などによる身体障害
がん、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、慢性腎不全、人工透析、網膜色素変性症 など

受給条件について、以降詳しく説明します。

「障害基礎年金」と「障害厚生年金」とは?

障害基礎年金と障害厚生年金

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。ここでは、両者それぞれの概要をご紹介します。

障害基礎年金

障害基礎年金とは、国民年金の加入者と、厚生年金の加入者の両方に支給される基礎年金のことです。詳しい受給条件は後ほど解説しますが、初診日が国民年金の加入期間、もしくは20歳になる前の場合は、この障害基礎年金のみの受給となります。

障害厚生年金

障害厚生年金とは、初診日が厚生年金の加入期間だった場合に支給される年金です
厚生年金とは、会社員や公務員が加入する年金制度です。わかりやすく言うと、一般企業や公的機関ではたらいているときに、病気やけがをして仕事や日常生活に支障が出てしまった場合に支給されるお金のことです。
障害厚生年金は、障害基礎年金にプラスする形で支給されます。基礎に上乗せして支給されることから、障害基礎年金と障害厚生年金を受け取ることを「障害年金を2階建てで受給する」などと説明することもあります。

障害年金の受給条件

チェックリスト

障害年金は、受給のための要件が3つあります。以下の要件をすべて満たすことで、障害年金の支給がされます。
・初診日要件
・保険料納付要件
・障害状態該当要件

初診日要件

障害の原因となった傷病の初診日に国民年金または厚生年金保険に加入していることが受給条件となります。加入している年金制度によって、以下のような年金の等級に分けられます。

  • 初診日に国民年金に加入している場合:障害基礎年金1級、2級
  • 初診日に厚生年金保険に加入している場合:障害厚生年金1級、2級、3級

保険料納付要件

保険料の納付状況も、受給可否を判断する条件になります。障害年金を受給するためには、以下のうちどちらかの条件を満たしている必要があります。

  • 保険料納付期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上あること
  • 初診日の前々月までの直近1年間に保険料の滞納期間がないこと(2026年までの特例のため初診日が2026年4月1日よりも前で、かつ初診時に65歳未満の場合)

障害状態の該当要件

障害年金における障害状態は、病気やけがによる生活への支障の程度によって決められます。
障害認定基準を定めた「障害等級表」があり、その内容を基に日常生活や就労への支障の程度によって受給できるかどうかが判断されます。障害による就労・生活への支障が大きい順に1級~3級となり、3級は障害厚生年金のみに適用されます。

なお、障害年金と障害者手帳それぞれにおける障害の判定基準は異なるため注意が必要です。
例えば、「障害者手帳が2級なので障害年金も2級」、「障害が重いので障害年金も1級」とは判断できません。障害者手帳と障害年金は制度そのものが異なり、判定方法も全く別になるためです。また、障害者手帳を取得していない方でも障害年金の受給申請は行えます。
なお、知的障害の障害手帳については全国共通の基準が設けられておらず、都道府県単位の基準もそれぞれです。手帳の名前も「療育手帳」、「愛の手帳」など都道府県によって異なります。

20歳前障害年金の要件

子どもの後ろ姿

生まれつきの障害や幼少時の傷病による障害が20歳を迎える前からある場合、以下どちらかの条件を満たすことで障害基礎年金を受給できます。これを一般的に「20歳前障害年金」といいます。

  • 初診日が20歳前、つまり年金加入前である(20歳までに医師か歯科医師が障害を確認した場合や、療育手帳交付済みの場合を含む)
  • 発症後の初診日が国民年金に加入期間中、または満60~64歳の間で、日本国内に居住していて保険料の納付要件が満たされている(先天性障害が確認されていたが、20歳を過ぎるまで症状として現れなかった場合

なお、このケースでは厚生年金の加入期間がないため、受給できる年金は「障害基礎年金」のみとなり、等級が1級・2級のみとなる点には注意が必要です。また、上記条件に当てはまっていても、申請時に一定の所得がある場合は、年金の全額または一部が支給停止となります。

参考:「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等|日本年金機構

障害年金の支給額

障害年金がどれだけ支給されるかは、障害等級や配偶者・子どもの有無、給与額によって変わります。

障害基礎年金の支給額

障害基礎年金を計算するには、障害等級と扶養する18歳未満の子どもの有無が分かっている必要があります。それを、以下の計算式に当てはめて算出します。
※障害基礎年金の金額は年度ごとに変わるため、下記は2022年4月から2023年3月までの計算方法となります。
最新の情報は日本年金機構のWebサイトでご確認ください。

  • 1級の場合:972,250円(+子どもの加算額)
  • 2級の場合:777,800円(+子どもの加算額)

【子どもの加算額】第二子まで:1人あたり223,800円、第三子以降:1人あたり74,600円

障害厚生年金の支給額

障害厚生年金を計算するには、平均標準報酬額(厚生年金保険料を算出する基準となる額)と、配偶者・扶養する18歳未満の子どもの有無が分かっている必要があります。それを、以下の計算式に当てはめて算出します。

  • 1級の場合:報酬比例の年金×1.25+配偶者加給年金
  • 2級の場合:報酬比例の年金+配偶者加給年金
  • 3級の場合:報酬比例の年金(最低保証 583,400円)

障害厚生年金の金額は個人の収入や加入期間などで変わり、勤続年数が長く収入が高いと年金額も高くなる傾向にあります。また1級と2級では、障害基礎年金(子の加算を含む)にプラスして障害厚生年金が支給されます。
3級での支給は報酬比例の年金のみとなるため、年金額が安くなりすぎないよう最低保証額があります(計算式参照)が、1級と2級は障害基礎年金を同時に受給できるため、最低保証はありません。

障害年金を受給するための申請方法

年金手帳と建物

障害年金を申請するには、どのような手順を踏みどのような書類をそろえる必要があるのでしょうか。ここでは、障害年金を受給するための申請手続きや必要書類をご紹介します。

手続きの大まかな流れは下記の通りです。
  • 初診日を確認する
  • 必要書類を準備する
  • 病歴・就労状況等申立書を作成する
  • 書類を提出する
  • 障害年金の受給開始

初診日を確認する

障害年金では、障害の原因となった傷病で医師または歯科医師に診てもらった初日が初診日となり、その日を確認する必要があります。かかりつけ医で診察を受けて総合病院を紹介された場合は、かかりつけ医に最初に診てもらった日が初診日です。
もし現在通っている病院と初診の病院が異なる場合は、障害年金を申請する前に、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を書いてもらいましょう。初診の医療機関にずっと通院している場合は、「受診状況等証明書」は不要です。
なお、初診日から長期間がたってから障害年金の申請をする場合、当時のカルテが破棄されてしまっているケースもありますが、当時の診察券や領収書、レセプト(診療報酬明細書)などが証明となることもありますのでできる限り情報を集めてみましょう。

必要書類を準備する

障害基礎年金、障害厚生年金の申請を行うには、それぞれについて必要な書類をそろえなければなりません。ここでは、障害年金申請に必要な書類をご紹介します。

障害年金申請に必要な書類
・年金手帳
・年金請求書
・病歴・就労状況等申立書
・受診状況等証明書(必要な場合のみ)
・3ヶ月以内に発行された戸籍謄本
・診断書(傷病によってはレントゲン写真添付)
・年金振込先預金通帳の写し
・委任状(代理人が申請する場合のみ)

未成年の子ども、もしくは20歳未満で障害のある子どもがいる場合、上記に追加して以下の書類が必要となることがあります。

・3ヶ月以内に発行された世帯全員の住民票
・配偶者の所得証明書などの収入が確認できる書類
・子どもの学生証の写し(中学校など義務教育の場合は不要)
・子どもの診断書(子どもに障害がある場合)

病歴・就労状況等申立書を作成する

病歴・就労状況等申立書とは、傷病の発症から初診日までの経過、その後現在までの受診状況、そして病中の就労状況などを記載するものです。
医師が書く診断書とは別に、申請者本人や代理人が記入をします。日常生活や仕事の状況についてご自身の言葉で伝えることができる、唯一の書類ともいえます。生活での困りごとや、医師に話すべきことには含まれない問題点などを書いて伝えるための、大変重要な書類となります。どのように発症しどんな問題が起こったか、また仕事に関してどんな困りごとがあったかを、この書類でできるだけ正確に伝わるよう書きましょう。

できれば、家族や友人など障害について十分理解している方に下書きを読んでもらい、書き漏れていることがないか、伝わりにくい箇所がないかなどをチェックしてもらうと良いでしょう。
参考:「障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構

書類を提出する

書類の提出先は、以下のようになっています。

初診日に国民年金に加入していた人
住所のある市区町村の国民年金課へ提出します。ただし、初診日に、厚生年金に加入中の配偶者に扶養されていた方の場合、年金事務所や年金相談センターへの提出となります。

初診日に厚生年金に加入していた人
初診日に、厚生年金第1号に加入していた方(一般企業の社員)は年金事務所や年金相談センターへ提出します。厚生年金第2号~第4号に加入していた方(公務員や私立学校の職員)は、所属の各共済組合へ提出しましょう。

障害年金の受給開始

申請が受理されると年金証書などが送付され、その後障害年金の給付が始まりますが、受理までの審査に一定の期間がかかります。障害基礎年金の場合は約3ヶ月、障害厚生年金の場合は約3ヶ月半がその目安といわれています。
また、年金証書等が届いてから実際の給付が始まるまでは1ヶ月半ほどかかるため、申請から実際の給付開始までは4ヶ月半から5ヶ月ほどかかると考えておくと良いでしょう。

障害年金を受給する際の注意点

注意喚起のマーク

障害年金の受給に際しては、事前に知っておきたい注意点やデメリットもあります。ここでは、障害年金受給を検討する際に注意したい点をご紹介します。

扶養から外れる場合がある

障害年金を受給していて、その収入が年間180万円以上となった場合、世帯主の社会保険の扶養から外れることとなります。

死亡一時金・寡婦年金が遺族に支給されない

国民年金の被保険者が亡くなった場合、遺族には死亡一時金が、配偶者には寡婦年金が支給されることがあります。しかし、障害年金を受給すると、どちらも支給されなくなります。

勤務先に障害年金の受給を知られる場合がある

障害年金の申請にあたっては、勤め先に記入を依頼したり通知がいったりすることはないため、基本的には障害年金の手続きをしたことや受給していることを知られることはありません。
ただし、障害年金の受給中に「傷病手当金」の申請をする場合、この申請書に障害年金の受給有無を記載する必要があります。勤務先を通じて傷病手当金の申請をする場合、申請書を人事などに一旦渡すことになるため、書類の内容を確認される可能性があることは頭に入れておきましょう。

dodaチャレンジが障害者の転職をサポート

dodaチャレンジは、障害者手帳を持っている方(申請中の方も含む)の就職・転職エージェントです。
一般の求人サイトでは見つからない非公開求人を中心に、障害特性やご希望に合う求人をご紹介します。障害者就職のプロである専任アドバイザーが対応し、面接対策や履歴書の書き方などまでサポートするので、就職活動や転職活動が初めての方でも大丈夫です。
障害年金の受給を検討してはいるものの、障害者雇用枠ではたらく選択肢も考えたいという方は、ぜひdodaチャレンジまでご相談ください。

まとめ

障害年金を申請するか、自分のペースではたらける就労先を探すか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
障害によりこれまでと同じように仕事を続けることが困難になった場合、生活を支えるために障害年金は大きな助けとなります。しかし障害年金を受給するためには、さまざまな書類や手続きが必要で、申請から支給開始までの期間も長いため、計画的に準備や行動を始めなければなりません。複雑な申請方法に困った場合には、まずは自治体の窓口に相談してみてください。

参考:
障害年金|日本年金機構

公開日:2022/10/7

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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