時短勤務とは?時短勤務ではたらくメリット・デメリットや給料への影響

夕方にノートPCを閉じるビジネスパーソン

通常のフルタイム勤務より短い勤務時間ではたらく時短勤務。育児や介護の時間を必要とする方はもちろん、障害がある方なども、状態によって体力的・精神的にフルタイム勤務が困難となる場合もありえます。
この記事では、時短勤務の概要をご説明しつつ、そのメリットやデメリットからお給料にどれだけの影響があるかなどを解説します。時短勤務ではたらくことを検討中の方は、ぜひご参考にしてください。

時短勤務とは

時短勤務の正式な呼び名は「短時間勤務」です。多くの方がすでにご存じかもしれませんが、「1日の労働時間を通常より短縮して勤務すること」を指します。
育児・介護休業法では、短時間勤務制度における1日の所定労働時間は「原則6時間」とされています。

時短勤務が注目されている背景

以前は時短勤務制度を取り入れている企業は少なかったですが、現在ではすべての事業主に義務付けられています。時短勤務が注目されている社会的背景としては、以下のような状況が挙げられます。

  • 少子化問題の対策として、出産や育児、介護など家庭と仕事の両立させる重要性が高まった
  • 障害のある方や高齢化にともなうシニア層の再雇用など、多様な人の社会参画の推進が必要となった
  • 度を越した超過勤務やそれによる過労死が社会問題化し、ワーク・ライフ・バランスの実現が重視されるようになった

会社によって取り組みの対象や内容が異なる

法令上の時短勤務は1日あたり6時間とされていますが、企業が設けている制度によってはその限りではありません。企業によっては週20時間以内など、法令上の時短勤務より短時間の勤務となる「超時短勤務」などの取り組みも進められています。
このように、職場によって時短勤務への取り組み内容は異なります。また、時短勤務制度が適用される対象や期間などもさまざまですので、就職や転職を機に時短勤務を考えている方は事前に確認することをおすすめします。

育児・介護休業法改正により定められた時短勤務制度

時短勤務普及の取り組みは、厚生労働省が主体となって進めています。元々は育児・介護休業法の改正で、時短勤務に関する条項が定められ、時短勤務制度の普及や拡大が国策として推し進められましたが、障害のある方や高齢者など、フルタイムでの勤務が困難な方のはたらき方の一つとして選択されることも増え、はたらきやすい職場づくりに大きく貢献しています。

時短勤務ではたらくメリットは?

時短勤務制度を活用してはたらくことには、以下のようなメリットがあります。

育児や介護と仕事が両立できる

ワーク・ライフ・バランス

1日あたりの勤務時間を減らしたり、勤務日数を調整することで、育児や介護のための時間を有効に使うことができます。出産・育児・介護のために従来は家庭に入ったり退職やパート勤務への移行を余儀なくされていた方も、労働時間を短縮し自分にあったはたらき方を継続できます。

ワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなる

残業や休日出勤などによる過度な超過勤務を防げ、はたらき過ぎを防止できます。また、仕事とプライベートの両立を無理なく図ることができ、ワーク・ライフ・バランスの実現につながります。
フルタイム勤務が難しくても短時間勤務であれば心身のバランスが取れ安定就労できるという方もいます。時短勤務制度を活用することで心身をしっかりと休める時間が取れるようになり、体調を崩すなどのリスクを防止できます。

段階的にフルタイム勤務を目指すことができる

ブランク明け・休職明けの方や障害のある方など、時短からスタートすることで就労への不安と負担を軽減することができます。短時間から徐々に仕事に慣れて行く中で、希望や体調を見ながら、段階的にフルタイム勤務を目指すことも可能となります。

時短勤務制度に「仕事以外の時間がつくれる=プライベート面のメリットが大きい」というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、プライベートの充実が仕事への活力や新たなアイデアにつながるなど、ビジネス面でのメリットも注目されています。

時短勤務ではたらくデメリットは?

時短勤務制度の利用者の多くは、フルタイムではたらくことに制約があり、そうせざるを得ない状況で選択していることと思います。その点では大きなメリットのある時短勤務制度ですが、以下のようなデメリットもあります。選択時に認識しておく必要があります。

給料が減少する

勤務時間が少なくなるということは、その分だけお給料が少なくなるのが一般的です。時短勤務制度の利用を考える際は、減給による生活への影響も考慮し、無理がないかを必ず検討しましょう。

キャリアに影響する可能性がある

すべての企業に当てはまるとは限りませんが、時短勤務歴があることで昇進や部署異動などによるキャリアアップに支障が出てしまう可能性もあります。将来性を優先したキャリアプランを考えている方は特に、時短勤務の利用に慎重になるかもしれません。
時短勤務制度の利用を理由として昇進対象から除外するなどの扱いは、育児介護休業法に抵触する可能性があり、違法行為といえますが、業務上のパフォーマンスなどを理由に昇進が遠ざけられる事例もあります。過去の事例などを参考にし、キャリアアップへの影響をよく考えて選択すると良いでしょう。

社員間のコミュニケーションへの課題

時短勤務の従業員は、フルタイム従業員と比較して社員間コミュニケーションの時間も減りがちです。重要な業務連絡の行き違いがないよう、双方で情報共有の手段を設けるなどの工夫が必要となるかもしれません。ITツールを活用し、リアルタイムで業務進捗や新情報を共有可能とするといった積極的な取り組みが有効でしょう。

フルタイムと比較して給料はどう変わる?

時短勤務制度の利用による給料の減少については、先にもご説明しました。実際に、時短勤務が給料に影響する要素にはどのようなものがあるのでしょうか。

労働時間に応じた固定給の減額

時計と紙幣

企業で定めている基本給などの固定給は、各従業員の勤務時間に応じて決められています。このため、フルタイム勤務から時短勤務へ移行することで、その人の固定給も勤務時間が減った分だけ減額されるケースが一般的です。

残業代の減額

時短勤務でも残業することは可能ですが、基本的には定時より前に退勤することとなるため、残業時間に応じて支給される残業代(時間外勤務手当)が支給されなくなります。従来のフルタイム勤務でよく残業をしていた方が時短勤務をする場合は、残業代の支給がなくなる、もしくは大幅に減ることにより、合計の給与額が減ることになるでしょう。

みなし残業代の減額

フルタイム勤務の場合、会社の規定や職種によっては、みなし残業代が基本給にプラスして支払われる場合があります。時短勤務に移行すると残業がないものとみなされ、その分が減額される可能性もあります。

賞与(ボーナス)の減額

賞与は基本的に成果給ですが、労働時間が減れば上げられる成果も減ることとなります。このため、フルタイム勤務の従業員と比較して賞与が減額される可能性もあるでしょう。

社会保険料の負担には注意

時短勤務でも、加入対象に当てはまれば社会保険料の支払いが発生します。社会保険料は、前年の4~6月に支給された給料に基づいて算出されます。このため、フルタイム勤務から時短勤務に移行してからしばらくの間はフルタイム勤務相当の社会保険料が課され、相対的に負担が大きくなります。

時短勤務でのはたらき方が適しているケース

時短勤務でのはたらき方が適しているのはどのような方なのでしょうか。一般的に時短勤務が適しているとされる方のケースをご紹介します。

子育て中の方・介護中の方

育児や介護で一定期間家事負担が大きくなり、仕事と家庭をスムーズに両立したいと考えている方は時短勤務に向いているといえます。制度としての「時短勤務制度」の対象となるためには所定の条件があるため、職場の規定とともに確認しておきましょう。

シニア層(定年後再雇用)の方

一度定年退職したシニアの方が再びはたらきたいという場合も、時短勤務という選択肢は有効です。体力的な負担を減らし、プライベートとの両立もしやすくなります。

休職からの復職直後の方

疾病などを理由に休職していた方が復職する際、体力面や精神面での不安があるほか、継続的な通院が必要な場合には通院時間の確保が必要となります。このような問題を解消するために、復職からしばらくの間や治療が続く間、時短勤務をするケースがあります。

障害のある方

身体障害や精神障害といった心身の障害があり、フルタイム勤務が困難という方も、時短勤務をすることで仕事をしやすくなるかもしれません。障害者の方の時短勤務に関しては、以下の記事にくわしく記載されていますのでこちらもご覧ください。

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時短勤務をご検討中の障害者の方は、ぜひdodaチャレンジまでご相談ください。

まとめ

時短勤務というと、育児や介護をしている方が利用するイメージが強いかもしれません。しかし実際には、はたらき方の多様化にともなってさまざまな事情のある方が時短勤務制度を利用しています。障害のある方も、時短勤務を選択することでより充実したはたらき方を実現できる可能性が近づきます。
時短勤務をご希望の障害者の方も、dodaチャレンジがサポートいたします。求人探しから就職後まで幅広いサポート体制をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。

公開日:2022/10/24

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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