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現状維持より現状打破 進化を続けるエグゼクティブの転職成功事例

現状よりもさらに上のゴールを目指して、キャリアの付加価値や自己の成長を追求するエグゼクティブの転職成功事例を、キャリアアドバイザーが分析を交えつつ紹介します。

「社長の右腕」となる無二の人材のために、
なかった椅子が用意された
転職前/大手IT企業(年収950万円) → 転職後/ベンチャー企業(年収1,200万円+ストックオプション)

Vol.1

2015年12月17日公開

  • 担当したキャリアアドバイザー

    担当したキャリアアドバイザー
    澤本 静

    得意分野:人材・教育・サービス業界
    大手人材総合サービス会社で、法人営業、キャリアカウンセラー、新規事業立ち上げ、マネジメント業務に携わった後、医療ポータルサイトの運営会社で新規事業開発に従事。その後、パーソルキャリアに入社。経営企画・新規事業企画職の転職支援に強みを持つ。

  • 今回の転職成功したエグゼクティブ

    今回の転職成功したエグゼクティブ
    山田 宏さん(仮名)

    1984年生まれ。大学在学中に起業した会社を卒業前に譲渡し、卒業後は一部上場の大手IT企業へ。新規メディア立ち上げやマーケティング部署の立ち上げ、採用責任者、海外勤務、事業部長などの職を経て、2014年にA社に転職した。

01山田さんは、この転職で何を“進化”させたのか

長年描いていたビジョンを、それまでの経験がフルに活かせる形で実現した

ご自身が学生時代から思い描いてきた、障がい者支援事業に就きながらキャリアを伸展させ、なりたい姿や夢に一気に近づいている点が“進化”だと思います。転職先のA社は、売上50億円、全国に70拠点を持つ、障がい者の就労支援を行うベンチャー企業です。対して前職は、一部上場のIT大手。私は山田さんはどちらの企業にいても活躍すると思いました。山田さんはお兄さんに障がいがおありで、障がい者支援へ強い思いがあったことから、30歳を前に、障がい者雇用のありかたなどの社会問題の解決に向き合うキャリアを選択しました。

02山田さんはどんなビジネスパーソンなのか

社会問題に挑む志向が強く、状況の把握力に長け、客観的

山田さんは、いずれは障がい者支援の事業を起こすと決めていたと言います。新卒でIT企業へ入社したのは、そのための準備として、現在最も市場競争が激しく変化の速いマーケットの最前線で経営やマネジメント経験を積むためです。目的通り、入社して約6年の間に、営業から人事までさまざまな経験を積んできました。新規事業の立ち上げや経営企画にも携わっており、経歴から幹部候補として期待されていたことが分かります。

パーソルキャリアのエージェントサービスにご登録いただいた当初は、すぐに転職する意思はなかった山田さんですが、障がい者の就労支援を行うA社をご紹介したところ、面談をする運びとなりました。私は山田さんとお会いして1秒で「エネルギーのある方だ」と思いました。ただ仕事ができるだけではなく、根底に強い思いがある。「ビジネスの力で社会問題を解決する」ことを自身のミッションと捉え、そのために今自分が何をするべきか、客観視できていると感じました。

03A社が抱えていた事業課題

社長の右腕として、同じ目線で陣頭指揮を執る人材の不足

売上も年々増え、事業運営は順調に見えるA社でしたが、社長とメンバーの間で自社の状況に対する認識に差があることが課題でした。例えば、社長は収益率の改善と経営リスクの分散が喫緊の課題だと捉え、一刻も早く新規事業を立ち上げるべきだと考えていました。しかし、その危機感を共有できるメンバーが少なく、それを担える人材も社内に見当たりません。

A社はもともとお取引先であり、社長と接点のあった私は、訪問時にそのような話を聞く中で、社長の右腕となる人材の採用を提案。話が具体化するように、A社で活躍できる人材を探し始めました。社長は事業の多角化に向けたアイデアも豊富にお持ちで、中でもITとの親和性に特に注目されていたので、その方面にも精通していることを、私の中でA社に提案する人材の条件としました。

04キャリアアドバイザーが見立てた山田さんの“進化”のシナリオ

たとえ将来、独立起業の道を歩むとしても、この転職は山田さんにプラスだと確信

大手IT企業に入社して6年以上、事業の立ち上げ経験もある山田さんは、A社が望むIT分野の新規事業に貢献できる人材でした。社会問題に対する強い思いと、解決の手段として体得してきたビジネススキル。双方を兼ね備えた山田さんなら、A社を次のステージへ導く存在になるのではと考えました。

また、大手企業でこのまま経験を積むキャリアと、成長のただ中にあるベンチャー企業で社長の右腕として活躍するキャリアとでは、5年、10年先を見据えた場合、人材市場における価値は後者の方が高くなると私は感じました。なぜならベンチャー企業でゼロから新規事業を立ち上げたり、社長が視野に入れるIPOに向けた準備をする経験はそうそう積めるものではないからです。もし山田さんが今後独立して起業することになったとしても、A社で活躍するほうがプラスになると思いました。本人の意思は確認できていましたから、私のやるべきことは、A社に山田さんのためのポジションを用意してもらい、受け入れ体制を整備してもらうことだけでした。結果的にA社は、山田さんを執行役員に迎える意思を固めました。

05山田さんがキャリアチェンジを決意するまで

3年後に死ぬとしたら、どうありたいか? 自分に問いかけた

山田さんはもともとA社のことをよくご存知でした。その理由は、前職で採用の責任者だった際、採用競合企業としてよく社名を耳にしたからです。調べていくうちに、山田さんは障がい者の就労支援の現状を変えるという自身の思いを実現できるのは、A社以外ありえないと思ったそうです。ご自身でリサーチも重ねたようで、深く企業を理解し、障がい者支援事業の知識も豊富にお持ちでした。

通常であれば人事担当者から順に面談していくところですが、私は山田さんにそのステップは不要と判断し、すぐに社長面談ができるようセッティングしました。また、初回面談以降、A社にはできるだけ「オフ」の機会を持つことをお勧めしました。私はとりわけCxOクラスの転職では、面談などの「オン」の場だけで判断するのはリスクが高いと考えているからです。CxOクラスの転職では簡単に異動することもできないので、入社後に違和感が生じると、お互い不幸になってしまいます。そうした事態を防ぐためにも、オフの場でざっくばらんに話すことが有効です。山田さん自身も、社長や役員の方々と会食を重ね、ご自身のイメージと相違がないことを納得したようでした。

06そして“進化”した山田さん、迎えたA社の今

望んでいた環境で、ITの新事業を展開。毎日が楽しくて仕方ない

私が山田さんを改めてすごいなと思ったのは、入社を決めた後「役職をつけないでほしい」とおっしゃったことです。社長からは執行役員で迎えたいとお話がきていましたが、現場スタッフの思いを考慮されての判断でした。結果、役職なしで入社した山田さんは、社内で高い評価を得て、わずか3カ月で満場一致を受けて取締役に就任されました。

現在山田さんはIT部門を立ち上げ、すでに複数のサービスを開始しています。プログラミングを活用した教育事業や、障がいを持つ子どものママ向けの情報提供サービスなど、A社が展開したかったビジネスが徐々に形になりつつあります。

山田さんからは「(転職して)毎日が120%楽しくて仕方がない」と聞いています。ともすれば、利益追求が第一目的だった前職と違い、全力で社会問題の解決に向き会えるえることが、とても楽しいのだそうです。また、山田さんの入社を皮切りに、A社にはその後も続々とビジネスリーダーが参画しています。その最初のきっかけをつくれたと思うと誇らしいですし、私も社会問題解決の一端を担えたのではないかと思います。決して前職に不満があったわけではない山田さんが、一気呵成に夢に近づける進化をお手伝いできたことを嬉しく思います。

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