精神障害者保健福祉手帳とは?申請から交付までの流れやメリットについて詳しく解説

精神障害者保健福祉手帳と申請書

精神障害のある方で「就職・転職活動を一人で進めるのは不安」という場合は、精神障害者保健福祉手帳を取得することで受けられるサービスやサポートを活用する方法があります。
この記事では、精神障害者保健福祉手帳の申請方法や交付までの流れ、利用できるサービスなどのメリットも含めて、詳しく解説します。

精神障害者保健福祉手帳とは

精神障害者保健福祉手帳とは、一定の精神障害の状態にあることを認定することで、さまざまな福祉サービスや支援を受けられる手帳です。
精神障害者保健福祉手帳は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)」に基づいており、精神障害のある方の社会復帰の促進や自立、社会参加の促進を図ることを目的としています。

令和3年度の精神障害者保健福祉手帳の所持者数は126万3,460人と、前年度に比べ 8万3,191 人増加(※)しています。所持者数は年々増加しており、療育手帳や身体障害者手帳の所持者数と比べると、増加率が高い傾向にあります。

(※)参考:厚生労働省 「令和3年度衛生行政報告例の概況」

精神障害者保健福祉手帳の対象と等級

精神障害者保健福祉手帳の交付を行うには、対象となる障害があることが条件です。また、手帳には等級が定められています。

対象となる障害の種類

精神障害者保健福祉手帳の対象は、何らかの精神疾患により、日常生活や社会生活に困難がある方です。年齢による制限や、入院・在宅による手帳の区別はありません。

また、2010年の障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)の改正により、ADHDをはじめとする発達障害も精神障害者保健福祉手帳の交付対象となりました。

手帳の交付対象となる具体的な疾患は以下のとおりです。

・統合失調症
・気分障害(うつ病、双極性障害など)
・てんかん
・高次脳機能障害
・発達障害(自閉症スペクトラム、学習障害、ADHDなど)
・その他の精神疾患(ストレス関連障害など)など

精神障害者保健福祉手帳の等級

精神障害者保健福祉手帳には、1〜3級の等級があります。等級は、障害の状態や程度、日常生活や社会生活のしづらさを総合的に確認し、基準に沿って判定されます。
1級、2級、3級の判定基準はそれぞれ以下のとおりです。

障害等級 障害の程度 障害の状態
1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの ・食事の準備や片付けができない
・入浴や着替えなどの清潔保持ができない
・金銭管理能力がなく適切な買い物が困難
・通院・服薬など規則的にできない など
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの ・食事や清潔保持に援助が必要
・日常生活において、適切な意思伝達ができず援助が必要
・計画的な買い物は一人では困難で援助が必要 など
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの ・身の回りのことは自分でできるが、何か変化があった場合に援助が必要となる
・協調的な対人関係づくりが可能だが、不安定である
・一人での外出も可能だが、援助が必要な状態 など

※厚生労働省 「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」に基づき作成

精神障害者保健福祉手帳の申請から交付まで

役所での手続き

ここからは、精神障害者保健福祉手帳の申請方法や、申請にあたって必要な書類などについて解説します。ただし、自治体によって異なる部分もあるため、詳細はお住まいの自治体窓口に確認してください。

申請窓口と必要書類

申請窓口は、お住まいの自治体に設置された障害福祉の担当窓口です。窓口にて精神障害者保健福祉手帳を取得したい旨を伝え、必要書類を受け取りましょう。自治体によってはホームページからダウンロードできる場合があります。

必要書類

・障害年金証書・申請書
・診断書(精神障害者保健福祉手帳用)
 ※診断書は初診日から6ヶ月以上経過した以後に作成されたものが必要です。
・本人の写真
・マイナンバーが確認できるもの

なお、精神障害者保健福祉手帳の発行に料金はかかりませんが、申請に伴う受診や診断書作成にかかわる料金は自己負担となります。
また、精神障害で障害年金を受給している方は、診断書ではなく証明書等の写しを提出すれば手帳の申請を行うことができます。

申請〜交付までの流れ

窓口にて申請書を受け取ったあとは、必要書類を作成し提出、交付となります。

診断書の作成(障害年金証書等がある場合は不要)

主治医・専門医に作成してもらう書類です。精神科の医師による作成が原則ですが、てんかんなど、内科医であっても精神障害の治療に関わっている医師は作成することができます。

自治体窓口へ申請書類を提出

申請書類を受け取った窓口に、記載済みの申請書、診断書または年金証書の写し等、顔写真といった必要書類一式を提出します。
本人による申請が難しい場合は、保護者や医療機関職員などによる代理申請もできます。その場合は、委任状や代理人の身元確認書類が別途必要です。

精神障害者保健福祉手帳の交付

申請後、自治体による審査を経て等級が決定し、手帳が交付されます。申請から交付までの期間は自治体により異なりますが、約1ヶ月〜2ヶ月かかります。

精神障害者保健福祉手帳の更新方法

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、原則2年です。自動更新ではありませんので、2年ごとに更新手続きを行い、あらためて等級の審査を受ける必要があります。

更新方法

新規申請時と同様、申請書類を作成し、窓口に提出しましょう。
更新は有効期限の3ヶ月前から受け付けており、自治体によっては更新時期が近づくと、更新のお知らせを郵送している所もあります。

自治体による審査を経て交付が決定した場合は、交付に関する通知が郵送されますので、交付元の窓口にて新しい手帳を受け取りましょう。
なお、審査結果により障害の状態や程度が変化したと判定された場合は、更新前と等級が変更になったり、非該当となったりすることがあります。非該当となった場合は新しい手帳は交付されません。

更新時に必要なもの

更新時に必要なものは以下のとおりです。

・新規申請時に提出した書類一式(診断書または年金証書の写しを含む)
・現在所持している精神障害者保健福祉手帳の写し

精神障害者保健福祉手帳を持つメリット

精神障害者保健福祉手帳を取得することにより、得られるメリットはさまざまです。ここでは主な3点についてピックアップして解説します。

税優遇や割引が受けられる

精神障害者保健福祉手帳の等級によって、所得税や住民税、相続税、贈与税などの税優遇措置を受けられます。また、1級に限り自動車税、自動車取得税の減免措置も受けることができます。
国による税優遇に加えて、自治体や民間企業によるさまざまな割引サービスを利用することもできます。例えば東京都では、都営交通の無料利用、路線バスの運賃の割引、公共施設の入場料金の免除、携帯料金の割引などのサービスを実施しています。サービス内容はお住まいの自治体によって異なるため、手帳交付時のお知らせなどに記載されている内容を確認しましょう。
また、精神疾患で通院治療を受けている場合に利用できる「自立支援医療(精神通院)」制度は、精神障害者保健福祉手帳との同時申請を行うことで、1枚の診断書で手続きができる場合があります。

障害者雇用での就職・転職活動ができる

精神障害者保健福祉手帳を持っていることにより、障害者雇用枠を選択肢に含めた、就職・転職活動が可能です。障害者雇用枠とは、手帳を所持していることを企業に伝えておくことで、通院や治療に対する配慮や理解を得ながらはたらくことができる採用枠です。
特に就職・転職後3ヶ月ほどは、新しい環境への不安やストレスを抱えやすくなる時期です。障害者雇用ではたらくことにより、短時間勤務からのスタートや、ハローワークが行っている「トライアル雇用」制度の活用が検討しやすくなります。

就労支援サービスが利用できる

笑顔で働く人

精神障害のある方が就職・転職活動を行う際には、不安や悩みを一人で抱え込まないことが大切です。
精神障害者保健福祉手帳を取得することで、ハローワークや障害者職業センターなどに在籍する、専門の知識を持った支援員への就労相談ができます。また、民間企業が運営する障害者向けの就労・転職支援サービスも、手帳を取得していることで利用することができます。

就職・転職支援サービスを活用しよう

障害者向けの就職・転職支援サービスを利用することで、障害の専門知識を持ったキャリアアドバイザーによるサポートを受けることができます。専任のアドバイザーによるヒアリングを受けることで、自身の障害特性の理解や強みの発見につながることも少なくありません。

dodaチャレンジでは、一人ひとりの障害と向き合いていねいなマッチングを行うことで、就職・転職後の高い定着率を実現しています。さらに、ご本人の就職・転職支援だけでなく、これまで精神障害のある方を雇用したことがない企業に対しても雇用支援を行うなど、雇用の創出にも力を入れています。

まとめ

精神障害により、日常生活や社会生活において困難がある方にとって、精神障害者保健福祉手帳によるサービスや支援にはさまざまなメリットがあると言えます。
特に就職や転職の場面では不安やストレスが大きくなりやすいため、手帳の活用はおすすめです。精神障害者保健福祉手帳の取得は任意ですが、安心して就職・転職活動を進めたい方や、自分に合った仕事を見つけたい方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

公開日:2023/9/5

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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