非定型うつ病は「ただの甘え」?誤解されやすい理由と発症した場合の判断

非定型うつ病

近年、若い世代を中心に広まっている「非定型うつ病」。従来のうつ病とは異なる症状が見られるため、特に異常はないのではないかと勘違いされやすい病気です。「うつはわがまま」「うつはただの甘えだ」という声は今でも多く、自分を責めてしまうことで症状が慢性化するケースは少なくありません。
この記事では、非定型うつ病の症状や定型うつ病との違い、誤解されやすい理由を解説し、発症した場合の正しい判断方法について詳しくご紹介します。

非定型うつ病とは?

非定型うつ病は「新型うつ病」とも呼ばれており、20代~30代の女性を中心に増えているうつ病の一種です。また、もっと若いうちにうつ症状が出て、慢性化してしまっているケースも多いと言われています。非定型うつ病は、従来の定型うつ病とはまったく異なる症状が見られるため「異常なし」と診断されることもあり、まだまだ十分な理解がされていない部分があります。また、自身が非定型うつ病であることに気づいていなかったり、周囲からは「甘えている」「怠けている」「ただの仮病だ」などと誤解されたりすることがあります。

非定型うつ病と定型うつ病の違い

非定型うつ病は、定型うつ病とは異なる症状が出ます。ここでは、非定型うつ病と定型うつ病で見られる症状の違いについて解説します。

気分の変化

一日中気分が落ち込んでいる、憂鬱で何事も楽しめない、といった症状が典型的な定型うつ病の症状です。一方で、非定型うつ病は気分の落ち込みはあるものの、楽しいことや好きなことにはポジティブな反応を見せるという点が異なります。特に休日には気分が良くなる傾向にあるため、病気だとは思われないことがあります。

食欲や体形の変化

定型うつ病では食欲が減退することも増すこともあり、体重の増減が見られます。一方で、非定型うつ病は過食傾向になり、体重の増加に伴って体形が変化するケースがほとんどです。

身体的症状の変化

身体的症状では、定型うつ病は全身のだるさや倦怠感といった症状が見られます。一方で、非定型うつ病では手足が鉛のように重く感じるようになります。

睡眠の変化

一般的なうつ病は寝つきが悪く不眠傾向が強く出ますが、非定型うつ病は逆に過眠となる傾向にあります。十分な睡眠時間を確保しているのに眠りが浅いなどの原因で常に眠気を感じてしまい、「だらけている」「やる気がない」と勘違いされやすくなります。

非定型うつ病の人が誤解されやすい理由

気分の変化

先述した通り、非定型うつ病は気分の変化がある中で、楽しいことや好きなことに対しては気分が良くなる点が特徴です。休日は楽しく遊び、落ち込んでいないときは何事もないかのように見えてしまいます。これが「ただの甘えだ」などと誤解されてしまう原因です。

周囲の方から見れば、嫌いなことに対して怠けているだけ、仮病を使っているのではないかというように思われてしまうのかもしれません。しかし、うつ症状が出ている場合は、社会生活や人間関係など、生活全体に影響が出てしまうため、医療的な介入が必要とされています。

非定型うつ病になりやすい人の特徴

非定型うつ病になる大きな要因としては、性格的要因と遺伝要因が影響していると言われています。ここからは、非定型うつになりやすい人の特徴をご紹介します。

性格的要因

非定型うつ病になりやすい人は、性格的要因が大きくかかわっていると言われており、対人関係において不安を強く感じやすい方に多い傾向があります。注目を浴びることが苦手で人前で極度に緊張してしまう、自分に自信が持てないといった性格から非定型うつ病を発症しやすいとされています。

遺伝要因

非定型うつ病になる要因として、定型うつ病と比較すると遺伝の影響が大きいと言われており、非定型うつ病を発症した場合に両親のどちらかがうつ病である割合は高いという研究報告があります。しかし、どこまで遺伝が関係しているかは明確にされていません。うつ病はストレスや性格、環境など複数の要因が重なって症状を引き起こしているため、遺伝はあくまでも要因の一つであると考えられています。

非定型うつ症状の治療方法

非定型うつ病は、適切な治療を行えば症状を改善させることができます。ここからは、非定型うつ症状の治療方法について解説します。

投薬とカウンセリング

非定型うつ病の症状を軽減させるために、症状に応じた薬を処方する方法があります。薬物を用いて治療することで精神状態を落ち着かせることができ、並行してカウンセリングを行うことで不安を取り除きながら症状を改善させることができます。

認知行動療法

認知行動療法とは精神療法の一つで、自分自身の考え方や行動にはたらきかけて心のストレスを軽くしていく治療法です。同じ出来事でも認知(=ものの見方や受け取り方)は人によって違うため、悲観的に受け取ってしまう方はストレスを感じてうつ病を発症してしまいます。治療を行うことで偏った認知のバランスを整えて、ストレスへの対処の仕方や柔軟な考え方を身につけ、症状の改善を目指します。

生活リズムの改善

非定型うつ病の症状を改善させるためには薬物療法や精神療法だけでなく、生活リズムの見直しも必要です。不規則で不摂生な生活を送っていると身体の不調やストレスにつながります。まずは規則正しい生活を送り、しっかりと食事をして太陽の光を浴びるなど、できる範囲で生活リズムを整えていくことが大事です。

非定型うつ病を発症した場合の判断は?

症状の判断

非定型うつは慢性化するケースもあるため、発症した場合は適切に対処することが大事です。もし職場や仕事によるストレスが原因で非定型うつ病を発症した場合、状況を見て仕事を続けるか、休職・転職するかを決めます。一般的に、主治医やカウンセラーに相談しながら最適な方法をとるのが良いでしょう。

身体が動き人間関係が良好であれば勤務を継続する

従来の定型うつ病と診断された場合は、治療に専念するため一定期間休職する必要があります。しかし、非定型うつ病を発症した場合は、身体が動く状態で、原因が職場の人間関係でなければ勤務を継続しても良いでしょう。職場の人間関係も良好でストレスがない環境であれば、うつ症状が出ることは少ないと考えられます。

原因が人間関係なら休職・転職を考える

非定型うつ病の原因が職場の人間関係にある場合は、職場へ行くこと自体にストレスを感じていることが多く、通い続けることで症状がさらに悪化することが考えられます。そのため、休職する、もしくは転職して環境を変えることがおすすめです。

仕事を探すときに気を付けること

非定型うつ病と診断されたら、まずは休息をとってしっかりと療養することが大事です。主治医やカウンセラーに相談し、原因や今の状態を把握して適切な治療を行いましょう。新しい仕事を探すときは、障害者雇用枠や理解のある職場を選択することが、長く安定してはたらくためのポイントです。

障害者雇用のサポートはdodaチャレンジにお任せ

非定型うつ病は、定型うつ病と比較すると一般的にまだ広く認知されていない障害であるため、職場からなかなか理解を得られないというケースは少なくありません。20~30代の若い女性が発症するケースが多く、はたらきやすい職場へ転職を考えている方は多いかと思います。そこで転職活動を成功させるために、障害者専門の転職エージェントを活用することがおすすめです。障害者専門の転職エージェントだからこそ、まだ広く認知されていない障害であっても理解があり、求職者に寄り添いながら転職活動を支援してくれます。

障害者専門の転職エージェントでは、障害者手帳をお持ちの方を対象として、障害者雇用の知識を持った経験豊富なアドバイザーが転職活動を手厚くサポートいたします。丁寧なヒアリングで一人ひとりに寄り添い、障害の特性や程度に合った求人をご紹介します。そのため、転職後も高い定着率を実現することが可能です。障害者雇用で転職を検討している場合は、ぜひ一度dodaチャレンジにご相談ください。

まとめ

非定型うつ病は、症状の特徴から周囲の方に理解してもらうのが難しい病気と言えます。転職活動をする際は、障害の特性やご自身の強み・得意なことなどをしっかりと把握して、はたらきやすい職場を見つけることが大事です。一人で抱え込まずに、専門のアドバイザーに相談して長くはたらき続けられる仕事を見つけましょう。

公開日:2023/11/2

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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