高機能自閉症の特徴とは?アスペルガー症候群との違いやはたらきやすい仕事の探し方

笑顔ではたらく女性

高機能自閉症は、大人になってから診断を受けるというケースが多いほど、気づきにくい障害の一つと言われています。なかなか周囲からの理解を得られず、職場で配慮を受けることが難しいと悩んでいる方も少なくありません。
この記事では、高機能自閉症の特徴について解説し、アスペルガー症候群との違いや安定してはたらき続けるための仕事の見つけ方をご紹介します。

高機能自閉症とは?

高機能自閉症とは、自閉症のうち知的発達の遅れを伴わない障害の一つです。知的な遅れがないため気づきにくく、発達障害の中でも診断がつきにくいと言われています。文部科学省では以下のように定義されています。

“高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。”(※)

(※)引用:文部科学省 「学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について」

高機能自閉症はアスペルガー症候群とどう違う?

高機能自閉症が知的発達の遅れを伴わない障害である一方、アスペルガー症候群は知的発達の遅れを伴わず、かつ自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わない障害のことを指します。これまで、言葉の発達の遅れが見られる高機能自閉症はアスペルガー症候群とは異なるものとして考えられていました。しかし、近年の研究によってあまり区別されずに扱われることが増えてきています。

高機能自閉症はASD(自閉スペクトラム症)と診断される

高機能自閉症は、正式な診断名ではありません。精神疾患の診断・統計マニュアルが記載された「DSM-5」では、高機能自閉症、アスペルガー症候群は総じて「広汎性発達障害」に分類される障害の一種であり、診断上はASD(自閉スペクトラム症)に含まれるとされています。

高機能自閉症の特徴

一見判断がつきにくいとされる高機能自閉症の特徴について具体的に解説します。

社会性・対人関係の困難さ

高機能自閉症の特徴の一つとして社会性や対人関係、対人コミュニケーションの困難さが挙げられます。

  • あいまいなコミュニケーションを取ることが難しい
  • 相手の気持ちを理解することが難しい
  • 場の暗黙の空気を読むことが難しい

あいまいな表現から想像することが苦手なため、言われたことをそのまま受け取ったり、思ったことを発言したりします。また、誰かと気持ちを共有することが苦手で場の空気を読めないことがあるため、一方的なコミュニケーションとなってしまうことも多くあります。このような特性から対人関係でのトラブルに発展するケースも少なくありません。

言語能力の遅れ・コミュニケーションの障害

通常は3歳で、単語レベルの二語文が出ていないと、言語発達に遅れがあると言われています。高機能自閉症では話し言葉の遅れが見られて、ジェスチャーを交えたコミュニケーションも成立せず、会話を継続することに困難さを感じる場合があります。ただし、子どもの場合は成長過程で扱える語彙が増え、問題なく発話できるようになるケースがほとんどです。

興味や関心の狭さ、特定のものへのこだわり

興味や関心のある領域には熱中しやすい一方で、興味がない領域に関してはすぐに集中力が切れてしまいます。一度熱中すると周囲が見えなくなってしまうことがありますが、特定の領域に関しては高い集中力を発揮できるでしょう。また、変化することに対して苦手意識があります。自分の中で決めた行動のルールなどに強いこだわりがあるため、予定を急に変えられると混乱してしまうことがあります。

高機能自閉症の二次障害は大人になってから発症することもある

高機能自閉症は先天的要因によって発症する発達障害であるため、大人になってから発症することはありません。しかし、大人になってから医療機関を受診して、初めて高機能自閉症と診断されることが多い傾向にあります。
理由としては、子どものときは知的発達の遅れが見られないことで本人も周囲の方も障害に気づかず、大人になるにつれて環境の変化や社会のストレスをきっかけに、二次障害を発症して初めて高機能自閉症と診断されるというケースが挙げられます。
高機能自閉症は、周囲からの理解が得られにくいため適切なサポートを受けることができず、強い不安を感じたり心の状態が不安定になったりして二次障害を引き起こすことが多く見られます。

高機能自閉症の二次障害

高機能自閉症の二次障害でよく見られるものは以下のような障害です。

  • うつ病
  • 不安障害
  • 適応障害
  • パニック障害
  • 引きこもり など

高機能自閉症がある方が自立してはたらき続けるためには?

自立してはたらく人

高機能自閉症がある方が自立してはたらき続けるためには、以下の2つのポイントを踏まえて仕事を見つけることが重要です。

本人の特性に合った仕事を見つける

先ほど解説したように、高機能自閉症にはさまざまな特性があり、苦手なこと・得意なことがはっきりしています。どのような特性が強く出ているのかは人によって異なることも理解しておきましょう。高機能自閉症がある方は、苦手なことを無理に克服しようとするのではなく、自分自身の特性を理解したうえで得意な部分を活かすことができる仕事を見つけることが大切です。

本人の特性に合わせて職場の環境を整える

高機能自閉症の方が長くはたらき続けるためには、職場環境が重要です。人とのコミュニケーションに困難さを感じてしまったり、感覚過敏が強く出てしまったりする場合は、職場の協力・配慮を必要とすることもあるでしょう。ストレスなくはたらき続けるためには、障害についての理解があり、しっかりと配慮してもらえる職場環境であることが大切です。

高機能自閉症の方に向いている仕事や苦手な仕事とは

ここからは、高機能自閉症の特性に基づいて向いている仕事や苦手な仕事をご紹介します。

不特定多数の人と関わらない仕事

対人関係やコミュニケーションを取ることにストレスを感じてしまうのは、高機能自閉症で多く見られる特性の一つです。そのため、不特定多数の人と関わる必要がない仕事の方が向いている傾向にあり、のびのびと作業することができるでしょう。

情報処理能力を活かせる仕事

高機能自閉症の方は、関心のある領域に関して興味を持って向き合うことができるのも特徴です。そのため、特定の領域の仕事に就くことで高い集中力・記憶力を発揮でき、情報処理能力を活かせるかもしれません。

定型作業がメインとなる仕事

高機能自閉症の方は、「変化が苦手」「決まったルールで行うことに高い集中力を発揮できる」といった特性を持つ方もいます。この特性を持つ方は、やるべきことが決まっている定型作業はその都度考える必要がないため長く続けることができ、合っているでしょう。

他者とのコミュニケーションや臨機応変な対応が求められる仕事は負担になりやすい

高機能自閉症の方は、他者とコミュニケーションを取ったり、その場で臨機応変に対応したりすることが得意ではありません。そのような状況が発生しやすい仕事は負担がかかり、大きなストレスにつながってしまう可能性があります。具体的な職種は、営業職や接客業などが挙げられるでしょう。ただし、人によって強く見られる特性は異なるため、一括りに考えるのではなく、一人ひとりの特性に合った仕事を見つける必要があります。

高機能自閉症の方の仕事先の見つけ方

出社する女性

高機能自閉症の診断を受けている場合は、公的支援や就労サービスのサポートを受けることができます。安定した状態ではたらき続けるには、焦らずに自分に合った職場を見つけることが大切です。それでは、高機能自閉症の方の仕事先の見つけ方をご紹介します。

ハローワークを利用する

ハローワークは厚生労働省が運営している公共職業安定所で、さまざまな支援を受けることができる雇用サービスです。障害に関する専門知識を持つ職員が配置されており、障害者向けの仕事も紹介してくれます。障害者手帳を持っていない方でも気軽に利用することができます。

障害者雇用制度を利用する

障害者雇用制度とは、企業などが障害のある方を雇用する制度です。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を取得していると、障害者雇用制度の対象となります。
障害者雇用の求人を探す際は、正しい情報を収集するためにもエージェントを活用するのがおすすめです。

高機能自閉症の方の就職・転職相談はdodaチャレンジへ

高機能自閉症は、その特性を理解することで、その方の能力を十分に活かせる仕事を見つけることができます。障害者雇用枠で就職先を探したいと考えている場合は、就職・転職エージェントを活用するのがおすすめです。

dodaチャレンジとは

dodaチャレンジは、障害者の就職・転職を専門的に取り扱う障害者手帳をお持ちの方のための転職・求人サービスです。一人ひとりの障害の特性に合わせて、専任アドバイザーが適切な求人をご紹介します。求職活動に不安のある方や、障害者雇用枠での就職・転職を検討している場合はぜひご相談ください。

就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロ・ダイブ)」のご紹介

特性を活かして先端ITスキルを身につけたい方や、就業準備をしたい方におすすめなのが、先端IT特化型の就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロ・ダイブ)」です。
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まとめ

高機能自閉症は、本人や周囲の方でも気づきにくい障害の一つと言われています。診断を受けた際は、高機能自閉症の特徴を十分理解するとともに、その特性を活かせる社会生活を形成していくことが大事です。周囲の協力・サポートを受けながら、能力や特性に応じて安定してはたらける環境を見つけていきましょう。

公開日:2023/11/2

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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