8つの業種の中で、「ほかにやりたい仕事がある」が1位にランクインしたのは前回から1つ増えて7業種。残りの「メーカー」は「会社の将来性が不安」が1位という結果になりました。また、今回は「メディア」を除く7業種で「残業が多い／休日が少ない」の割合が上がりました。業績が好調な企業が増えたことに比例する形で、一部の企業では、そこで働く社員の業務過多が進んだ結果、待遇改善を目的とする転職が増えたのだと考えられます。

「メディカル」は、前回1位だった「会社の将来性が不安」がマイナス1.8ptの10.4%になり、反対に前回2位だった「ほかにやりたい仕事がある」がプラス4.7ptの15.7%まで割合を伸ばし、1位と2位で順位が入れ替わる結果となりました。特に1位の「ほかにやりたい仕事がある」は、8業種の中で最も高い割合を獲得しています。メディカルではCRAやメディカルサイエンスリエゾンといった、これまで市場にあまり出てこなかった求人の採用ニーズが高まったことで、より専門性の高い仕事や経験を活かせる仕事にチャレンジできる機会が増えたことが、この一因と言えます。

「メディア」は、1位の「ほかにやりたい仕事がある」がプラス1.8ptだったことをはじめ、5位の「幅広い経験／知識を積みたい」がプラス0.4pt、6位の「専門知識・技術力を習得したい」がプラス1.9ptと、やりたい仕事やスキルアップを目的とした「ポジティブ転職」の割合が前回を上回る結果となりました。広告投資に意欲的な事業会社ではマーケティング部門の強化を目的に、自社採用の動きが高まっています。さらに、これら事業会社に向けて提案を行う広告代理店や制作会社の採用ニーズも増加しており、活躍の場が広がっていることなどが背景として考えられます。

「金融」は、5位の「専門知識・技術力を習得したい」がプラス1.2pt、6位の「顧客のためになる仕事がしたい」がプラス0.8ptで、それぞれ前回を上回りました。ネットショップやネットバンキングに代表されるように、PCやスマートフォンを用いた決済や送金、各種手続きなどが一般にも広く普及してきた今、メガバンクなどでは金融のIT化や新たな仕組み作りが進んでいます。こうした動きを受け、より専門性を高めたい、顧客に役立つサービスを提供したいと、転職に踏み出した人が増えているのでしょう。一方で３位の「会社の将来性が不安」の割合が0.5pt上昇した理由には、このような変化の波に乗りきれていない会社で働くことへの不安や、一部の地方銀行で再編の動きなどが見られたことなどが反映されました。